軍事思想史入門 第13回【ゲリラ戦】

【ゲリラ戦】

 少人数で奇襲や待ち伏せ、後方攪乱などの破壊活動を行うゲリラ戦は古代から用いられてきた戦法であり、ゲリラという言葉もナポレオン戦争時の半島戦争で生まれたスペイン語の「小さな戦争」の意味から登場したものである。

 しかしながら、ゲリラ戦に関する代表的な著作の登場は遅く、第一次世界大戦以降となっている。アラビアのロレンスで有名なイギリスのロレンス『知恵の七柱』などで、第一次世界大戦のアラブ反乱におけるゲリラ戦について述べた。

 このように従来のゲリラ戦は純軍事的に用いられるものが多かったが、次第に共産主義思想と結びつき、革命におけるゲリラ戦という方向で発展を遂げていった。

 その最も重要な著作と言えるのが、中国の毛沢東による『遊撃戦論(抗日遊撃戦争の戦略問題)』である。その中で毛沢東は、従来の共産主義で中心的だった都市における工場労働者による武装蜂起ではなく、農村地帯でのゲリラ戦を行うという新しいゲリラ戦略を生み出した。このゲリラ戦略は多くの革命家に影響を与え、ゲリラ戦争の指針となっていった。

 毛沢東以外でも、カストロと共にキューバ革命を成し遂げたチェ・ゲバラ『ゲリラ戦争』や、フランスとの独立戦争を戦い抜いたベトナムヴォー・グエン・ザップ『人民の戦争・人民の軍隊』、ブラジルのマリゲーラ『都市ゲリラ教程』などが代表作として挙げられる。

 

ロレンス『知恵の七柱』

毛沢東『遊撃戦論(抗日遊撃戦争の戦略問題)』

チェ・ゲバラ『ゲリラ戦争』

ヴォー・グエン・ザップ『人民の戦争・人民の軍隊』

マリゲーラ『都市ゲリラ教程』

 

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